約束の明日

溶け合う心













「……疲れた」




 夕食を済ませ、入浴を終えると、アウルはベットの上に身を投げ出した。

 鈍い音を立ててマットレスが沈んで戻る。

 アウルは上下に揺れるベットの揺れを背中で感じながら今日の出来事を反芻させて大きく息を吐き出した。


 あれからミーアとステラは意気投合して一緒にお菓子作りまではじめ、他の娼婦たちに配って歩いて、自分はそのお供。

 アパートの娼婦たち揃ってのお茶会ではただボーっと成り行きを見ていた。彼女らの間でどんな会話があったのかまったく思い出せないほど、アウルの体はつかれきっていた。

 明かりを消して目を閉ざすと、アウルはあっという間に眠りに落ちていった。











* * * *












 真夜中近い頃だろうか。
 鼻腔をくすぐる甘い香りと自分に触れる他者の体温にアウルは眠りから引き戻された。

 熱い息が頬をなでたかと思うと唇を割って入ってきた熱い舌に驚いて目を開けた。自分の額にかかる細い、金の糸と睫が視界に映る。


ステラ、だった。


 ステラがいつものように自分のベットに潜り込んできていたが、今夜は勝手が違っていて、彼女は自分の上にのしかかり、自分の唇をむさぼっている。

 アウルはしばらく呆然とされるがまでいた。とにかく彼女を自分から引き剥がそうと手を動かそうとしたら、自分の両腕がぐんと引っ張られた。

 いつのまにか両腕はベットの両端に縛り付けられていて、びくともしない。驚愕に口を開くと、狙い済ましたようにステラの舌が奥に潜り込む。

 音を立ててアウルの舌を吸い上げ、咥内を蹂躙する。

 ひとしきり口付けを終えたステラがゆっくりと唇を離すと、二人の間に銀色の橋が伸びた。


「何のつもりだよ」


 口付けの余韻で息も荒げにそう問うと、ステラは答える代わりに妖艶な笑みを浮かべて、身に付けていたネグリジェを脱ぎだした。

 青白い肌となだらかな肢体、そして豊かな胸元が露になる。

 潤んだ大きなすみれ色とつんと、上を向いた薄紅色の乳首が彼女の静かな興奮を表している。


「おい、ステラ……」
「欲しいもの自分で……ってミーアが言ったの」


 アウルの髪に指を滑らせながらステラは語る。闇に淡く浮かび上がる表情に甘い毒を含んだ笑みを含ませて。


「ステラは、アウル、欲しいもの。だから、奪う」


 小さく、抑圧の少ない声に潜む危険な欲望。ステラはそういうとかがんでアウルの頬に口付け、彼の服のボタンを外し始めた。

 全て外し、胸元をはだけさせると、うっとりとした表情を浮かべる。


「綺麗……アウルの、綺麗だね」


 首元から胸元へ。胸元から腰まで繰り返し指先を這わせながらつぶやく。


「こんなに、綺麗なの……はじめて」


アウルの肩から力が抜けて行く。

ステラの愛撫からではない。

彼女の言葉で悟ったからだ。

彼女は暗殺の道をいきてきた。

その中で知りもしない男に身をゆだねた事さえ、あったのだろう。

そう。
自分もそうだったのだから。

似たもの同志のミーアは特別だったけれど、任務のため、ロアノーク家のため。

 好色な貴族相手に男とでも女とでも割り切って寝た。

 自分はちっとも綺麗ではない。


「ステラ、僕は綺麗じゃねーよ。好きでもない奴とでも平気で寝れるんだ」

「……その人たちと、アウル、寝れる……のに」


 アウルに触れていた手がぴたりと止まった。


「ステラは……?できない……?」
「ばか。そんなん……じゃない」


それどころか何度抱きたいと思った事か、とアウルは言う。


「じゃあ、どうして」
「お前はあったかいから。汚すような気がして嫌だった」


 一緒に寝ていて欲情しなかったといえば嘘になる。
 あえて気づかないフリをしてきた。
 血染めで汚れきった自分が彼女を抱けるわけがない。そう、思ってきた。


 ステラもゆっくりと頭を振った。


「ステラもね……綺麗じゃ、ないよ」


 一杯殺した。
 見ないフリ、聞こえないフリをして殺して歩いた。
 人の命を背負うだけの覚悟が無かったから。
 命を見据えてきたアウルなどよりもずっとずるかった。


「ずっとずっと、汚いよ」



 そして今もこうして奪おうとしている自分が居る。

 大きな湖水から透明な光があふれ出し、アウルの胸元をぬらした。そのしずくを払ってやりたくても両腕の自由が利かない。

 アウルは自分の腕を自由にして欲しい、とそっと囁きかけた。

 ステラの顔が哀しげにゆがむのを見て、困った笑みを浮かべて繰り返す。


 願うように。


「お前を抱きたい」
「ステラ……を?」
「解いてくれるよな……?」


 ステラはためらいがちにうなずくと手を伸ばしてアウルの戒めを解いて行く。

 するりするり。

 夜気のなか、布切れがすれる音が静かに響く。やがてかすかな痛みと共に両腕が自由になった。

 アウルは腕を伸ばしてステラを抱き寄せると、目元の涙を吸い取るかのように口付けた。


 そして愛情をこめて囁いた。


「バカ」
「アウル……」


 震えるステラの唇に口付けを落すと、潤んだ目で少女が腕の中から見上げてくる。

 アウルの中でずっと押し込めていた思いが楔を失い、あふれ出して行く。


 もう止められない、想い。


 「ずっと我慢してきた僕の気持ち、分る……?」


 額に。目元に。頬に。そして唇に。
 静かな口付けの雨を降らせながらアウルは囁いた。
 やっと気持ちに気づいたというような表情を浮かべるステラが小憎らしくて愛おしくて。

 アウルは彼女の唇をふさいだ。

 唇を強く吸い、舌を差し入れると、彼女もそれに応えて舌を絡ませてきた。

 お互いの咥内を行き来してじゃれあう。

 吐息も徐々に荒くなってゆき、お互いむさぼるような口付けと変わって行った。


 アウルはステラを押し倒すと、熱い舌を首元へとは這わせ、強く吸い付いては紅い花を咲かせて行く。

 甘い痛みにステラは身をよじってアウルにすがりつき、たかが外れたように二人はもつれ合った。


 シーツも毛布も邪魔に思えて、床へと蹴り落した。


 アウルはステラの胸元に口付けると、掌からこぼれんばかりの胸をそっと手の掌既に包み込んでなぞった。
 少し汗ばんだ肌が掌に吸い付くようで弾みのある、やわからな乳房。 硬くなっている右の乳首を口に含んで音を立てて吸い上げた。


「あぁん……」


 上からステラの上ずった甘い溜息が聞こえると、伸びてきた腕がアウルを抱きしめる。

 舌で押しつぶしたり、甘噛みしたりするたびに白い体が小刻みに震え、アウルを抱く腕の力が強くなる。

 アウルは谷間から顔を上げると、ステラの両手首をつかんで引き寄せた。

 ステラが潤んだ目で彼をじっと見つめている。

 アウルは微笑むと彼女の両手のひらに、交互に唇を押し付けた。まるで宝物のように、大切に、そして強く。


 ほろり。


 ステラのすみれ色の瞳から大粒の涙が頬を伝って零れ落ちた。部屋に残るわずかな光を吸収して輝く。
 
 アウルは目尻にも口付け、こぼれた涙を舐め取った。


 ……塩辛いけれど、甘い、涙の味。


 彼女の全てが愛しくて、たまらなかった。
 胸が、感情がが高ぶってゆく。


 アウルが再びステラの唇に吸い付くと、彼女も応えて小さな舌を差し出す。 幾度ともなく、下をからめあって、吸いあうと小さな水音が間に生まれ、響く。

 官能を高ぶらせる、音。

 ごくり。

 アウルはどちらともいえない唾液を飲み込むと、唇を離した。


「あうる」


 もっと、と囁く甘い声に背中がゾクゾクとした走り、強烈な欲望がアウルの全身を焦がした。
 ――思うがまま目の前の少女をむさぼりつくしたいという、凶悪な情欲だった。

 ステラの細く、白い首筋に噛みつくように口付けた。


「ひゃう……っ?!」


 痛みと驚きの悲鳴が上げるステラにかまわずぴちゃぴちゃと音をならしてしゃぶる。こんなにもがっつくなんてどうかしてる、と頭の片隅で考えながらもやめられない。

 まるで火山のように熱が内側からせりあがってくる。
 全身を焼きつきそうな灼熱があとからあとからと。

 首筋から再び胸元へアウルは唇を下ろして行った。
 白い通り道に紅い花を落としてゆきながら。


「あ……はぁ……あ……ん」


 ちりちりとする痛みさえ快楽なのか、ステラの声には甘さが混じっていて。荒く上下する弾力のある乳房の双丘につんとそり立つ薄紅色の先端がアウルを誘っていた。

 しこった先端を指の間に挟み、左右にこぼれた胸をアウルが円をえがくように揉みしだくと、手の動きに従って豊かな乳房は形を変える。


「あ、あ、ああ……」


 荒々しく揉みしだかれ、ステラが切なげに眉をしかめる。アウルはその先端を含むとこりこりとしたそれを丹念に嘗め回し、吸う。

 舌が触れるたびにステラは艶かしい声をあげ、しなやかな体をはねらせた。 下に手を伸ばすと、ステラの薄い茂みから溢れた蜜がアウルの指をぬらした。


 「あ……っ」と声を漏らし、ステラの体がびくり、と震えた。


 アウルは忍び笑いを漏らすと、じらすようにぴったりと閉じた花弁をさするように指を這わせる。


「やぁ……っ、ああっ、ああ……」


 喘ぎを上げながらも物足りなく感じているのか、ステラは快楽を求めるようにアウルに腰を押し付けてきた。


「アウル……もっと……して……」


 大分余裕を取り戻したアウルは乱暴なそれから緩やかな愛撫へと切り替えて行く。

 ぷっくりと大きくなった花芽をふれ、つかんだ。


「ひぃああっ……あ、ああっ……ああっ、いきな……り、はげし……よぉ……っ」


 ステラが悲鳴じみた声を上げて大きく身を捩じらせた。アウルが執拗に親指で愛撫を繰り返すと、ステラは背中をのぞけらして、花弁から熱い蜜を溢れさせた。

 熱い蜜がアウルの指に絡みつく。指の腹で転がしながら中指を中へと滑り込ませた。
 ぐちゅり、という水音を立ててアウルの指がステラの中へと飲み込まれる。


「あっ……ああん」


 ステラの内部は溶けるように熱く、アウルの指を貪欲に締め付けた。

 アウルが指をゆっくり動かすといやらしい音にステラが漏らす喘ぎが混じる。


 ――愛しい女を啼かせている。


 アウルにとってそれは心地よい、協和音に聞こえた。

 指の本数を増やすとステラの嬌声が上がる箇所を的確に探り当て突き上げると、ステラの内部は意思を持っているかのようにアウルに絡みつき、締め付ける。

 興奮も最高潮に達したアウルは指を引く抜くと、ずちゅっと音を立てて、ステラの花弁から蜜があふれ出た。

 ステラの膝をつかみ、大きく脚を開かせるとあ、っとステラが声を上げ、羞恥心に両手で顔を覆った。

 脚の根元には薄い金の恥毛に縁取られた花弁が紅く色づいていて、中から花芽が覗いていた。

 とろりと蜜が溢れてシーツを濡らす。

 アウルは顔を近づけると紅色の花びらに舌を這わせた。蜜を舐め取りながら溝を丹念になぞって行く。


「ああ……恥ずかしい…よぉ……んん……っ」


 ステラの啼き声と甘ったるい、女の色香にアウルは
くらくらと眩暈がしそうになる。

 充血した花芽を優しく口に含み、舌の上でころがす。根元から揉み込むように舌を当てた。


「は、ああぁぁんッ!だめぇ……そこ……っ!」


 とたん、狂ったような声を上げ、ステラの体がビクビクと大きく波打った。

 彼女の反応に気をよくしたアウルは執拗に愛撫を繰り返す。


 そして花芽をくわえ込んで強く吸い上げると、



「あ、ああ――あああ―――んんっ!!」



 ステラは溜まらず、ガクガクと身を震わせると長い嬌声を上げて果てた。


 アウルは大量に蜜を吐き出された蜜を花芯から腿の内側に舌を這わせて丁寧に舐め取ると顔を上げた。

 力を失い、ぐったりしたステラに覆いかぶさり、アウルはステラの前髪をかき上げた。汗でペタリ額に張り付いた柔らかな金髪は細く、艶やかだった。
 額に口付けを落すと、ステラがゆっくりと目を開けてアウルを見つめてきた。


「大丈夫か?」


 アウルが意識があるか確認すると、ステラうなずいて見せる。意識はあると確認したものの、彼女の疲れた様子にどうするかアウルは迷った。

 自分の自身ははちきれんばかりに熱を持っていたけれど、ステラに無理はさせたくなかった。最初の情事だからあとに嫌な想いを残したくないから。

 だがステラはアウルの意図を察したように彼の頬に触れると、大丈夫、と囁いた。


「アウル……来て……?ステラ……ね……欲しい」


 顔を赤らめ、ポツリポツリ、とステラは言葉を搾り出す。

 それでもためらうアウルにステラは自ら足を開いてアウル自身を自分へと導いた。


「はやくぅ……」


 艶かしい誘いに負けたようにアウルは熱を持った自身をステラの花弁に押し当てた。
 触れただけでじんわりと伝わる、熱に欲望が再び燃え上がる。こみ上げてくる男の欲望を自制できないまま、アウルは腰を強く押しこんだ。


「ああ……ん」


 やっと結ばれた喜びだろうか。
 ずぶずぶと音を立てて、花芯を押し広げて入ってくるアウルにステラは歓喜の声を上げた。

 彼女の花芯の狭さにアウルもまた、くぐもったあえぎを上げる。ステラの内部はとても熱くて、吸い付くようにアウルをくわえ込む。濡れそぼった花弁からは透明な蜜が際限なく溢れ、アウル自身を濡らした。

 アウルは腰を上げるとゆっくりと小刻みに腰を動かし始めた。


「んっ!ああんっ!あ、アウル!!あうるぅっ!!」


 ステラは声を殺すような事をせず、声を部屋に響かせる。屋敷に響きそうなくらいに。近くで寝ているネオの存在がアウルの脳裏を掠めたがすぐにどうでもよくなった。

 もうお互いしか見えない。

 アウルとステラは互いの唇をむさぼるように重ね合わせて舌を絡ませた。


「あっ、ああっ、ああ……っ!」


 ぶちゅぶちゅと薄暗い部屋に響く淫猥な音。

 アウル自身が内壁を刷り上げ、突き上げるたびにステラの声が高くなってゆく。

 ステラの中でアウル自身が暴れまわる一方、ステラの内部はアウルをむさぼろうと締め付ける。

 アウルの先走りの体液とステラの蜜が交じり合い、結合部から伝って落ちた。奥の奥まで打ち付けられ、中をさすられるたびにステラが啼く。

 それに伴って収縮を繰り返す子宮。

 アウルは抜き差しするたびに自分に絡みつくステラの内部と蜜の感触に酔った。


 脳髄から蕩けそうな、快楽。
 ステラへの愛しさ。
 アウルは行為は獣じみてゆき、激しくなってゆく。
 部屋に充満する熱気。二人から漏れる湿った音とベットのきしむ音がさらに興奮を高めていった。


「ぁあ、あっ、あっ!」
「はぁはぁ……く……っ」


 腰をぎりぎりまで引く抜き、根元まで打ち付ける。

 小刻みだった動きから大きなうねりのある動きへと変え、アウルは息を荒げに腰を打ちつけた。


「んっ……ステ……ラ……も……いっちゃ…あ……っ、はぁ……っ」


 絶頂を迎えようとするステラの中が忙しなく収縮を始めた。
 ステラ自身も早く昇り詰めようとアウルの腰に足を絡ませて彼をさらに近くへと引き寄せ、アウルの動きに合わせてステラも腰を振った。

 アウル自身とステラの花芯がぶつかり合い、卑猥な音を立てて、蜜が飛び散る。

 自分の下で貪欲に腰を振るステラに興奮したアウルも自然と腰の速度は加速させて行った。


「ステラ……ステラ……っ!!」
「アウル、あうるぅ……っ!イくっ、イっちゃうのぉ……」


 衝動のまま、互いに快楽をむさぼり、二人は一緒に高みへと上り詰めていった。


「ステラ……っ、出す……ぞ……」
「あ、ああ……ん、あうるぅ……!」


 限界だった。

 アウルは息を吐き出すと、激しく腰を突き上げ、達する。同時に怒涛の勢いでステラの最奥へと射精した。

 ステラの膣内がきゅっと締まり、アウルからあふれ出した欲望を搾り取る。


「ん、んっ、んんっ――――んあああああああ――っ」


 自分の最奥に叩きつけられた熱の奔流にステラは体を大きくのぞけらせると、アウルの背中に爪を立て、果てた。

 









* * * *












 二人はお互い抱き合ったまま、しばらくぐったりと呼吸を整えていた。ステラの中ではまだアウルが熱く息づいていて脈を打っている。


「もう一回くらい出来っかな……」


 ステラの胸の谷間に顔を埋めていたアウルがそうつぶやくと、なあに、とステラの穏やかな声が頭上に降ってきた。


「アウル、やっと一つ、なれた……」


 満たされた声を出すステラにアウルは自分の欲望が少し恥ずかしくなった。あれだけの行為の後でももう一回、と訴える自分の若さが恨めしく思えた。


「アウル、好き……」
「僕、も……」


 好き。

 あれだけ口に出来なかった愛の言葉が自然と滑り落ちた。自然と愛の言葉が滑り落ちた。自分の水色の毛先に指を這わせ、幸せそうに笑うステラにアウルは彼女への愛しさを募らせた。

 同時にどうしようもない欲望ももたげた



「あ……」


 自分の内部で再び大きくなって行くアウル自身に
ステラの目が丸くなった。

 目をぱちぱちさせてアウルを見下ろす。

 アウルは恥ずかしさに頬を染めたが、ここはもうどうしようもないとも思ったので開き直ると


「もう一回」


 と言った。
 ステラはやや困った顔を見せたが、アウルはもうあとに引く気はなかった。

 続行、決定。

 今夜はもう寝かせないつもりだった。



「元々僕を襲ったステラが悪い」


 そういうと、ステラは頬を染めてだって、とつぶやく。付け入る隙を見つけたアウルはたたみかけるように続けた。


「二度目は優しくするからさぁ。いーだろー」


 ねだるように甘い声で囁く。
 ステラは甘えられると弱いのはここ数ヶ月ともに暮らしているうちにわかった。


「やぁん……くすぐったい……よ。赤ちゃん、みたい」


 アウルがかり、と自分の前にある乳首を甘噛みすると、ステラが笑い声を上げた。

 同時にきゅっとステラの内部が狭くなり、アウルを締め付ける。十分ともいえる彼女の反応にアウルはくすり、と笑った。
 ステラもまた恥ずかしそうにはにかむ。



 見詰め合う、ふたり。
 口端をもたげてアウルはまた笑った。


「じゃ続行な?」
「あんまり……激しくしないで……?」
「分かってるって」


 アウルは身を起こすとステラの吐息を奪うように唇をふさいだ。咥内をあまさず舐め回すと最後に唇に吸いつき、チュッと可愛らしい音を立てて唇を離すと、うっとりとなっていたステラと視線を合わせた。


 愛欲が再び高まってきたのか、大きな菫色は潤んでいた。


 「じらさないで……ね?」


見上げてくる潤んだ目にアウルは苦笑した。


 「激しくすんなって言ってたくせにどっちだよ」
 「どっちも、いいの」


 自分の首に回された腕にアウルは軽く口付けると、笑った。


「仰せのままに、お姫様」









つづく
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