連合の別荘にて待機を命ぜられて数日。
どうも今日は気分が悪い。
熱を測ると38度もあった。
風邪を引いたらしい。
「かぜぇ?体調管理なってねぇーな」
「スティング・・大丈夫?」
小馬鹿にしたように俺を見おろすアウル。
彼の隣でステラが俺に
氷枕を当てながら心配そうにのぞき込んでいる。
「あまり寄るな。うつるぞ」
それにアウル、お前はそう言うが、
お前らの服装だといつかは風邪をひくかもしれないと思うと心配で仕方ない。
「・・すまない」
「フン。今日は一日寝てろ。あとは僕たちが何とかする」
「(こくこく)」
ま、好いか。
二人だから大丈夫だろう。
今日はゆっくり休ませてもらうとしよう。
・・・・。
・・・・。
焦げ臭いにおいで目が覚めた。
熱っぽい身体を引きずってキッチンへと向かうと、
ステラが涙目で 鍋を覗いていた。
「スティングのおかゆ、・・焦がしちゃった」
「大丈夫だ。まだ上の方が無事だ。上澄みをすくえばいい。あと鍋は水につけておけ」
「うん・・」
落ち込むステラをなだめ、残ったおかゆを救出する。
隣の鍋の前で陣取っているアウルがやれやれと肩をすくめた。
「ばっかじゃね?」
「そう言うな、アウル。ところでお前何つくってんだ?」
「あん?みそ汁だよ、見ててわかんねー?」
おいおい、みそ汁が沸騰しているぞ?。
おまけに異様に長いわかめがびろーんと鍋から顔を出している。
・・わかめ、切ってないな。
「アウル、みそ汁は沸騰させてはいけないんだ。だしをとってそれから・・」
「だし?何ソレ」
・・・。
・・・。
・・頭が痛い。
結局昼飯は俺が作った。
冷蔵庫に残っていた野菜や肉などの具材を入れた豚汁。
簡単だが栄養満点だ。
豚汁をすする二人のそばで俺はステラの作ってくれたおかゆを食べた。
食欲はまるでなかったがステラが一生懸命作ってくれたんだ、残すわけにいかない。
でも心なしか熱が上がったような気がする。
「おい、食器は僕らがやる。寝てろ」
「まかせて」
「あ、ああ・・」
食後、俺は追い立てられるように寝床に戻った。
ものすごく心配・・。
がっしゃーん。
「割れたぜ、おい!!」
「・・隠す・・」
・・聞かなかったことにしよう・・。
・・・・。
・・・。
どれくらい寝ていたのだろうか。
「うわーーーっ!!何だよ、これはっっ!!」
「あぅ〜〜〜」
騒ぎ立てる二人の声で目が覚めた。
脱衣所からのようだ。
重い身体をまたもや引きずっていくと、泡を吹く洗濯機のまえで
二人がパニックになっていた。
・・洗濯物と洗剤を入れすぎたな。
洗剤の量が決まっていること。
洗濯物が多いときは回数に分けておくことを言い忘れていた。
俺の責任だ・・。
「いーかげんやめろ!!スクラップにするぞ!!」
怒ったアウルが洗濯機にケリを入れている。
やめてくれ!!一台しかないんだぞ!!
「?・・スティング?」
「…何で起きてきたんだよ!?おいっ!!顔色すげーわりぃぞ」
・・・おまえらが心配からだよ・・。
「・・大丈夫だ。それと洗濯物は多いと思ったらわけてやろうな。
あと白い物と色物も分けるんだ。洗剤はこのくらい・・」
気力を総動員して二人に指示をしながら後片づけをする。
ようやく終わって安堵するとふと目の前が真っ暗になった。
どれくらい気を失っていたのだろうか?
気がつくと外は真っ暗だった。
だいぶ寝ていたらしい。
頭の上に冷たいタオルに氷枕。
枕元に人の気配を感じた。
「あぅうう〜。良かった・・」
「心配掛けやがって・・」
アウルとステラだった。
二人とも泣き出しそうな顔をしていた。
手元には氷の入った洗面器。
頭の上の冷たいタオルが心地いい。
「ずっとついててくれたのか?」
「当たり前だろ、馬鹿」
「すまない・・」
・・守るはずのやつらにこれだけ心配かけて俺は保護者失格だな。
大丈夫だ、お前達がいる限り俺はがんばれる。
これくらい平気だ。
だから泣くな。
安心させるようによしよしと彼らの頭を撫でる。
これからもこういう事があるかもしれないけど、俺たちチームだろ?
互いに補えばいい。
今俺は寝込んでいるけど、心配して看てくれるお前達がいる。
だから大丈夫だ。
これからも俺たちは3人なのだから。
そう、きっと大丈夫。
あとがき
去年昔投稿したSS。
学園編に書き換えようと思いましたが、
やっぱりそのままにしました。
28話や32話のあとだと切ないなぁ・・。