つめたくてあたたかい








外は雨。

あんなに青かった海も空も灰色に染まっていて

辺りは静まりかえっている。

この天気では外にも出れない。

外に出れないから海も見れない。

それに。

空が青くないもの。

海が青くないもの。

そんな物見ても私は嬉しくない。

だってとても冷たいから。

冷たくて寂しいから。

私が最も恐れるモノを思い出させるから。


だから私は今小さな水槽の前でいるの。

すぐ側で水色の彼が寝息を立てている。

その規則的な呼吸に体温に

とても安心する。

手元には飴玉の入った小瓶。

キラキラと光っていてとても綺麗。


「ね、綺麗でしょ?」


小さな水槽の熱帯魚に話しかける。

もちろん返事はない。

でも何となく頷いてくれたような気がして

口元から笑いがこぼれた。


「アウルからもらったの。ね、綺麗でしょ?」


水槽は小さな青い海。

何処までも透明で青い海。


「何ぶつぶつ言ってンの」


眠たそうな声と共に覆い被さってきた水色の彼。

彼は空。

何処までも自由で青い空。

雨の日は温もりを求めて

彼の側で小さな海を見て過ごす。

外は雨。

外の冷たい世界と

この世界を隔てるのはたった一枚の窓。

でも外がどんなに冷たくても

彼の側ははとても暖かい。








あとがき



わかりにくい表現だったかな、と思います。
心の温度差が著しいと言うことです。
雨の日って寂しいですよね。
アウルの態度も冷たかったり、
優しかったりしますが
彼の側はいつだって暖かいと思います。