3.出撃

 

 




敵襲を知らせるアラートがジョーンズに響き渡る。

その警報に目を輝かした水色の少年がまっさきに飛び出してくる。

 

「まーってました!!何機落とせっか競争しようぜ、スティング!」

「遊びじゃないんだぞ、アウル」

 

スティングはそうたしなめるものの、彼自身もわくわくしていた。久しぶりの地球での戦闘だ。

やはり宇宙より重力下のほうが彼の性にあっている。カオスは宇宙戦を想定されて造られた機体なのになと

スティングは苦笑した。そしてアウルの後ろにステラがぼんやりと続く。



「スティング、敵、来たの・・?」

「ああ、そのようだな」

「テキ・・。ソラを落としたやつら・・!!」


そうつぶやくとステラのぼんやりとした表情が戦士の顔へと変化していく。

毎度のことだが、この劇的な変化にスティングは戸惑いを覚えざるをえない。

戦闘用のスイッチは彼やアウルにもあるのだが、彼女は彼ら以上に変化が著しいのだ。

またキレると後先考えずに突っ込むところも頭が痛い所だ。



「ま、そんなときのために俺らがいるんだし?」

「・・お前、俺の心が読めるのかよ?」

「スティングの考えなんて分かるよ。ちったぁ」


僕の事も心配してよね、とアウル。


「信用しているんだよ」

「おやぁー、うれしいこと言ってくれるじゃん」

「・・ステラもがんばる」

「あ〜はいはい。期待してるって」


出撃後、3人はウィンダムやダガーに混じって参戦。

次々と敵機を落としていく。


「つっまんねーの。やっぱあの新型艦じゃないと張り合いねーな。やる気あんのか、コラァっっ!!」

「やあああっ!!」

「おちろぉぉっ!!」


だがそのうちの1機に早いのがおり、ステラのライフルを次々とよけていく。


「生意気な・・っ!!」


一向に当てられないステラはついに痺れを切らし、MAモードに変形すると単機で敵機に突っ込んでいく。


「ステラ!?」

「おい、馬鹿っ!一人で突っ込むなって!!」


頭の中が沸騰しているステラには二人の制止など聞こえない。

一刻も早くあの生意気な敵機を葬りたい。

宇宙で戦ったあの白い機体が脳裏に浮かぶ。


「はあああっ!」


気合いと共に彼女は戦艦と戦艦を飛び石のように移っていくと飛び掛っていった。


背のビームブレードが展開する。


「馬鹿が・・!」



だが敵のパイロットはそうはき捨てると、高くに舞い上がり、ステラの突進を交わした。

そしてそのままビームライフルでガイアの着地点に攻撃した。

瞬く間に艦が四散しそして、沈む。



「!!」

「ステラ!」


足場を失い、爆風に吹き飛ばされ、海に転落するガイア。

地上戦を想定されて造られたガイアには海は不向きだったらしく、浮かび上がってくる様子がない。



「あの馬鹿っ・・・!言わんこっちゃない!」


アウルは舌打ちをすると、すぐさまアビスをMAモードに変形させると

海に潜っていった。その様に敵パイロットは酷薄な笑みを浮かべて嘲笑する。


「ハハハ、間抜けめ!」


が、その直後。

ガイアを海のそこへと追いやった敵機はカオスのドラグーンに囲まれた。


「よくもステラを・・!」

「なっ・・・!?」


怒りに燃えたスティングによってその敵機は瞬く間に炎に包まれた。



まもなく戦闘が終わり、味方機が次々と帰還してくる。

その中にガイアを抱えたアビスもいた。

ステラは命に別状はなかったが、海に落ちたショックで気を失っていた。

彼女はすぐさま治療を受けると、ゆりかごに入れられた。

少し遅れてアウルたちもゆりかごへと入る。

薬で眠るステラを心配そうに見守る二人。

大丈夫さ、と笑みを浮かべるネオにアウルはポツリとつぶやく。



「あいつ、海好きだと言ってた」

「ああ、そういっていたね」

「だから海に嫌な記憶を残しちゃいけない」



アウルの言葉にネオは仮面越しに目を細めた。



「・・記憶を消せ、というのかい」

「ついでに俺らのも。いいよな、スティング」

「・・ああ」

「お前のナイトぶりも忘れさせちゃっていいのかい?」

「んなもん、いるかよ。守ってやるのは当たり前なんだから」



守ってやるなんて口に出すものじゃない。



アウルはさびしそうに笑って眠るステラのほうを見やる。



「何よりもあいつにつらい記憶を残すほうがいやだ」



その表情にネオの心が痛んだ。

だが感傷は無用。

感傷は、無用。

そうでなければならない、

彼らがこれからも生きていくために。


「・・分かったよ」


ネオはうなずくと、素早く研究員に指示を出した。

ゆりかごの扉が閉まってゆく。


「んじゃ、また」

「あとはよろしく頼みます」



そういうとアウルとスティングはいつもと同じように眠りについた。

後はゆりかごの静かな電子音だけ。



「暫しの休息だ・・。ゆっくりお休み」



3人の穏やかな寝顔にそうつぶやくと、ネオはメンテナンス・ルームを後にした。



「・・今日もごくろうさん」












後書き


何機落とせっかなぁ〜?」

というセリフでシン達との戦闘はなかったとしても

他のザフト軍とかの戦闘はあったんじゃないでしょうか。

アウステより3人ですね、これは。

でも海でピンチになったときはアウルだったんじゃないでしょうか?

ステラのナイトは。