守ってあげたい。



そう、思った。























From Me to You


























守る。
君を守ると呪文のように繰り返していたあなた。
でも本当はあなたが守ってもらいたかったんじゃないかな。
誰かに包んでもらいたかった。
自分を一人にしないと言って欲しかった。
傍にいて欲しかった。


子供のように泣きじゃくるあなたを見てあたし、そう思ったよ。
あなたは見てきた事全部が全部知っているわけじゃない。
ううん、知らない事の方がずっとずっと多いに違いないわ。
あたしは君の全てを受け止めきれるとは思えないけど分かち合えると、と思うの。
そう、はんぶんこ。


君の想いを。
君の悲しみを。
君の寂しさを。
半分こ。


あたしね、大事なものを失う気持ちって正直よく分からなかった。
妹さんと家族を失い。
守ろうと誓ったエクステンデットの子.うを守れず、打ちのめされていた君。
悲しいだろう。
つらいだろう。
奪ったものが憎いだろうとは思ったけどやっぱり人事にすぎなくて。
メイリンを失うまでは本当に遠い世界の出来事のようだった。
そしてメイリンが海に消えたとき、あたし初めてあなたの気持ちについて考えてみたの。


悲しい。
つらい。
憎い。


ああ、君もこんな気持ちだったのかな・・・・て。
でも君は君。
あたしはあたし。
似たような想いは持ったとしてもそれは決して同じじゃない。
完全に分かり合うのは到底無理なのだけど、少しだけ。
ほんの少しだけ分かったような気がした。


だからメイリンの事であなたを責めたりは出来なかった。
むしろ君は何も悪くないって。
でも悲しみや憎しみはどうする事も出来なくて。
悪いのはメイリンをそそのかした奴ら。
この結果の原因を作った奴ら。
そう思って憎む事であたしは自分を保とうとした。
復讐心で闇雲に突っ込むあたしを必死に守っていたあなた。


ごめんね、シン。
大丈夫だって言ったのにね。


メイリンは結局生きていてくれたけど、あの時味わった想いは消えない。
だからあたし、生きて、生き延びて。
そばにいる。
ううん、いさせて。


偽善?
あたしはボランティアをするほどの人格者じゃないわよ。
これはね、あたしのためでもあるんだ。
だって誰かに必要とされるのって素敵だと思う。
そしてあたしはあなたに必要とされたいの。


だから君の想いを。
悲しみを。
寂しさを。


あたしにも半分。
全部というほどあたしは強くないんだ、ごめん。
・・・・かっこつかないね。
でも正直な気持ちだよ。


怒りっぽくて。
すぐ怒鳴るし、暴れまわるし。
責任転嫁はお家芸。
弱いところは心に秘めて、押し込めて潰れそうになっていたあなた。
でもそんなあなたの全部が愛おしい。


傍にいて。
傍にいさせて。
あたしを見て。
あたしに触れて。



好きよ、シン。















あとがき
ルナからシンへ。
最終話で弱いシンも彼の想いも全て受け止めてくれたルナは
やっぱりシンのマリア様だと思いました。

ステラの事も含めてルナはシンを受け止めてくれる。
それが分からなかったのでちょっと加筆修正。