青い髪。
南国の海のようなマリンブルーの瞳。
女のような、綺麗な顔立ち。
何でこんなヤツがこんな血塗れたラボなんぞにいたか正直不思議だった。
だけど。
実力は本物だったらしくボクらの後釜候補と言われていた。見た目とはかけ離れた実力を持つと言われていたそいつに興味を持ったのは必然だったかもね。
そして。

「何見てんだよ、ボケ」

ヤツは見た目より遙かには口が悪かった。





Long,but not so Long ago
クロト&アウル編





「先輩に向かってボケとは何だよ、このぶわーか!!」
「うっせぇ、このボケ!!」

当然ボクらはケンカになった。
周囲は誰も止めるわけではなく、みんなにやにやと見ていた。
面白い余興か。
それとも競争相手を減るのを好都合と見ていたのか。
幸いこいつと一緒にいるはずの二人は姿が見えない。
とことんやってやる。

さすがは後釜候補。
華奢で小柄のくせに腕力があり、力負けしそうになった。
申し分のないスピード。
そして何よりもヤツの跳躍力とバネは人間離れしていた。

・・なるほど。
バネもきく分破壊力も高くなる。
けれどボクは負ける気がしない。
なぜなら。

「甘いよ」

ヤツのタイミングに合わせて着地点を狙った。
此方だってスピードに自信があるンだ。
なめんなよ、ぶわーか。

「がっ」

もろに喰らって吹っ飛ぶ、水色のヤツ。
床にたたきつけられる前に反転して、再び地を蹴って向かってくる。
アイツの行動は読める。
手に取るように。

ボクより次世代であって身体的能力はボクより高い。
けれど負ける気はしない。
なぜなら。

「よっ・・・と」
「何・・・っ!?」

スレちがいざまに手首を軽く掴み、ヤツのパワーとスピードを利用して
バランスを崩してやると、文字通りヤツは宙を舞った。
そして掴んでいた手首をひねると、その勢いのまま床にたたきつけた。
背中を叩きつけられ、その衝撃で咳き込んだヤツののど元に隠し持っていたナイフを突きつけた。

「チェックメイト」
「ちきしょお・・っ」

マリンブルーの瞳が悔しさと憎しみでぎらぎら光っている。
へえ、女みたいだなんて言葉、訂正しといてやるよ。
こんなに獰猛じゃないモンね。

「場数が違うんだよ、ぶわーか!!」

そう。
ヤツに負けない自信。
それは経験の差。
空気の流れ、
相手の動き、
息づかい。
それが何となく分かってしまう。
それがこいつとボクの違い。

「残・念〜。また来いよ、いつでも相手になってやるからさ」
「覚えてろよ・・・っ!」

圧倒的な力を見せられてもこいつの目は光を失っていない。

面白いおもちゃを見つけた。

態度は気にくわないけれど、こんなおもしろいおもちゃは他にはない。もっと遊んでやろう。飽きたら殺せばいい。そう思うと嬉しくて仕方なかった。こいつがボクに殺されるのが先か。ボクがこいつに殺されるのが先か。これはゲーム。ボクはからかうようにそいつを見おろした。


「その調・子!ボクはクロト・ブエルって言うんだ。そこら辺に転がっている職員ども捕まえて名前言えばすぐに居場所分かるよ?で、お前、名前なんて言うのさ?」

ヤツは歯を食いしばってボクを見ていたが、やがてゆっくりと口を開いた。

「アウル・・・。アウル・ニーダ・・」
「んじゃ、以・後!よろしく!」
「・・ふざけやがって」

これがボクと水色のヤツ、
アウル・ニーダとの出会いだった。





あとがき
新連合の質問に答えていたら この3人を軸に新連合との関わり合いを書きたいなぁとむくむくと。
拍手のつもりがえらい長さになってSSにしました。
旧連合編。
オルガ、シャニ、そしてクロト。
旧連合はどこかイカレいて、新連合はどう受け止めるか・・・を書いていきたい。
気まぐれ更新です(笑)