素材『写真素材』さまより






1.意地悪

(ネオ視点)








好きな子にはついつらく当たってしまう時期がある。

それはほとんどが一度は経験するものだと、

俺は思う。

 

それが照れ隠しであったり。

またそれで好きな子の気を引こうとしているものだったり。

またまたその子の反応が無性に面白いからだったり。

なんとなくだったり。

とにかくかまいたくなるものだ。

 

今その時期真っ只中らしい、水色の少年はどれにあてはまるんだろうか?

 

 

 

 

「へっへーー、いーだろー」

 

そういってアウルが掲げて見せたのが飴の大玉が入った小さな小瓶。

砂糖衣のかかった、色とりどりの飴が照明の光を受けてキラキラとしている。

 

「綺麗・・」

「勝手にさわんなよ、ば〜か」

 

うっとりと手を伸ばしたステラの手をアウルはにべもなくはたいた。

しかもあかんべーのおまけつき。

幼稚園児みたいだなぁ、と

 

俺、ネオ・ロアノークはその様子を見守る。

 

はたかれた手を涙目でさするステラをスティングが一生懸命に慰めている。

そして慰めながらもアウルに注意することも忘れていない。

だがアウルは、そんなお小言なんぞどこ吹く風といった調子でそっぽを向いている。

 

アウルがステラを泣かせるとスティングが彼らをなだめすかし、

アウルはそれをいつも軽く受け流す。

いつもこんな調子だ。

 

天使のような容姿の癖してアウルは。

 

口が悪い

態度が悪い。

性格は筋金入りの天邪鬼。

 

これほど外見と中身のギャップがある者を俺は見たことない。

どうもアウルは好きな子を困らせるのに喜びを感じるタイプのようだ。

これじゃあ意中の子もモノにできんぞ、と心配してみたいする。

しかも相手はステラ。

・・天然な上にアウル同様、精神的にまだ幼い少女なのだから。

 

困ったことになかなか泣き止まないステラ。

うーむ。

今日のステラはどうやらご機嫌斜めだったらしい。

宇宙から帰ったばかりだったから、やっぱり情緒不安定気味だったのかもしれない。

俺が出るべきだろうかね?

 

そこへ何を思ったのか。

アウルは小瓶から飴をひとつだけ取り出した。

 

お、あげるのかと思いきや。

自分でほおばってしまった。

あいた口がふさがらない。

 

・・なにやってるんだ?

・・仕方ない・・やっぱり俺の出番かな。

 

ため息をひとつつくと俺は重い腰を上げた。

だが一歩前へ踏み出そうとしたとき。

アウルは思いもよらない行動に出た。

残りの飴の入った小瓶をステラに押し付けたのだ。

 

「もういらないからお前にやるよ」

「ア、アウル・・?」

 

訳が分からないというようにまだ涙にぬれた瞳をぱちぱちとさせるステラ。

スティングも同様らしく目を見張ってる。

 

「飽きたからお前にやるってぇの。欲しかったのもうもらったしぃ」

 

アウルはそう言いながら口の中で飴を転がして見せる。

ハムスターのように膨らんだほほがなんとも・・。

こんなことを言ったらアウルが憤慨するだろうが。

 

「・・ハムスター・・みたい」

 

ス、ステラ・・余計なことを・・。

 

俺は笑い出しそうなのを必死でこらえた。

ここで見つかっては元も子もないからね。

 

「ああ!?」

 

案の定。

大きな蒼い猫目をますます吊り上げてアウルがにらむ。

が、飴の小瓶がよほどうれしかったのか。

ステラは怖がる様子もなく、微笑んで付け加える。

 

「・・可愛い」

「ははっ。そーだな。可愛いじゃないか、アウル」

 

スティングがそういって顔をほころばせると、アウルの体ががわなわなと震えた。

 

 

「可愛いって言うなぁ!!僕は男だぞ!!」

 

 

 

 

それは地球に降下して間もないころの話。

その小瓶は今でもなお。

ステラの部屋に小さな水槽と一緒においてある。










後書き


アウルと言えば「アメ」というイメージがあります。

それも結構他のサイトさんでも見かける・・。

本編にそんな描写なかったけど・・どうしてでしょう。

やっぱ「やんちゃ」だからかな?

うちのアウルは心を許した者に対しては子供っぽい

一面も見せます。甘えん坊だから。

・・でも裏切られたりすると豹変すると思う。

彼にもステラの二面性とは違った二面性があると思うんですよね。

スティングはどうなんだろう・・。

ちゅぱちゅぱあめのネタもありますが、また今度。

ここまで読んでいただき、有り難うございました。