僕から何が言えるだろう。
たくさんある言の葉の、うちから何を選ぼうか。惜しむらくは愛情。耳を通る音よりもたくさんの、たくさんのそれをあげるよ。もう勘弁してと君たちが閉口しても、なお。無尽で無償の愛をあげる。それから。
僕の胸を開いて、全部を見せてあげられることが出来たら良いのにと思う。他のものが入るスペースなんてないくらい、もうぎゅうぎゅうで。ちょっと前までのスカスカでからからで死んでしまいそうだった、僕の胸が嘘のよう。僕は生きている。
それもこれも、あれもそれも、全部。
君たちのおかげ。
ありがとう。
眩しくて直視できない太陽の色と、そこから永の距離を経て辿り着いてくる水の色。
揺らして。
いつも新しい世界を見つけてくる君たちは、ビー玉みたいなまんまるな瞳を輝かせ、小さな指先かかげる。あかしろきいろはなのいろ。そこらに転がる宝石を。
妖精の粉、天使の環。ありとあらゆるキラキラを、僕にくれる。見せてくれる。
あぁ、こんなにも優しい世界があったのかと、僕は知って。僕らは、知って。
「おとうさん」
こんな未来があることを、夢にも見ずに手離していた。
誰かのために銃を取り、殺し。
誰かのために銃を収め、生かし。
世界は簡単で単純で、自分と誰かしかいないのにいやに複雑だった過去は。
祈り願うこともなかった。ただ、佇んでいただけ。
「 」
振りをしていた。
強がる。
本当は怖かったのに。本当は欲しかったのに。
無限に広がっている、僕と、僕たちの、明日が。
そうして、今。
君たちが教えてくれた幸せの分、僕は言おう。
たくさんの言の葉の、うちから二つ。選んで伝えよう。愛情は惜しまない。抱きしめて、抱きしめて、君たちに全てをあげる。
「ありがとう、あいしてるよ」
まっさらな、君たちの手を取る。