拍手ログその3
期末テスト
オルシャニクロ
期末試験が近い。
そしてセンターも。推薦はもう終わったところもある。
自分の勉強も抜かりないが、問題はあいつらだ。
今回もしっかり勉強させねーと赤点だ。
それだけはこの俺のプライドがゆるさねぇ。
学年トップを争っている俺の弟が赤点の常連になってたまるか。
それにはおっさんも目を光らせていて
あいつらの点数でお年玉の金額が変わってくる。
二重の意味であいつらのためでもある。
しっかりやらせねぇと。
・・・・しかし。
シャニの部屋からひっきりなしに聞こえてくる木槌を打つ音はなんだ?
勉強をしているのか。
気になるからちょっとだけ覗いてみよう。
真面目にやっていたらシャニの心を傷つけてしまう。
気づかれねぇようにそーっとだ。
ところが、
目に飛び込んできたのは頭にゆらりと火を灯した
二本のローソクを立てた白装束のシャニ。
右手にはおなじみの木槌。
「・・・・・なななな」
「み〜〜た〜〜な〜〜〜〜」
み〜〜た〜〜な〜〜〜〜じゃねぇっ!!
勉強もせんで何やっとんじゃ!!
クロト、なんでお前まで白装束なんだ?!
「テストの日、晴れるように祈っていたんだ」
「そ〜〜〜だよ〜〜〜」
「嘘つけっ!!」
テストは晴れだろうが雨だろうが雪だろうが台風だろうが決行なんだよ。
天気は関係ないだろうが。
壁にずらりと並んだわら人形に貼り付けてある写真は全て見覚えがある。
てめぇらの教師じゃねーか!!
「わら人形はやめれ!!」
「分かった〜〜〜」
お?
やけに素直だな。
「クロト〜〜〜、そこの祭壇出して〜〜」
「了・解!!」
祭壇?
なんだ、それは。
ぱちっとMDコンボのスイッチが入った。
同時流れ出すおどおどろしい音楽。
白装束姿だったシャニとクロトは、というと。
いつの間に黒服に黒マント姿になっていて。
「オンバラバラサッサーオンバラバラサッサー」
「エロイムエロイム」
コラーーーーーーーーーーーーーーっ!!
「黒魔術も却下だ!!」
「え〜〜〜〜」
「横・暴!!」
真面目に勉強しようと考えんのか、お前ら!!
その暇があったら勉強しろーーーーー!!
勉強より儀式にいそしむ弟二人に頭を痛めるオルガ兄貴。
自由に育てているように見えるアズラエルさんは意外と成績に厳しいようです。
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期末テスト
シンと愉快な仲間達
やっ、俺はシン・アスカ。
しがいない高校一年生さっ。
決してディズニーとかいうロボットの負け犬パイロットじゃないからね。
え?
機体の名前が違う?
そんな事知るかよ。
今の俺は死ぬほど忙しいんだ。
なぜかって?
今12月だぜ?
12月に何があるか知ってるだろ?
クリスマス?
大晦日?
ち・が・うっ!!
その前に学生にとって、避けて通る事の出来ないおっそろしい物があるだろ?
期末テスト。
中間の5教科に加えて技術科目も増えて9教科。
国語なんか古文と現代国語。数学なんてもっとばらけてくるし。理科だって。
おえ。
そうは思ってもテストは無くならないし
俺を引き取ってくれたおじさんおばさんの面子もあるから赤点は取れないんだ。
古文と英語はやばかったけど、今まで何とか赤点は免れている。
これもレイやルナのおかげ。
・・・・すっごく感謝してます。
今回は何におごらせられるのかな?
生徒会の雑用少ないと良いなぁ。
「安心しろ。年末年始だから仕事は腐るほどある」
さいですか。
「技術科目と物理なら俺とヨウランにお任せ!!電気のノウハウ教えるぜ♪」
「お前の場合、他は赤点すれすれだから他人に教えている暇はないだろ」
ヨウラン、そんな事言っちゃダメだよ。ヴィーノが落ち込んだじゃないか。
こんなふうに試験が近くなると皆揃って一緒に試験勉強を始めるんだ。
今日の会場は俺の家。
スティングさんは隣の家だからあとでおやつを持ってきてくれるってのがすっごく楽しみ。さぁ頑張ろう・・・・・。
「おい」
「ああん?今良いとこなんだ、話しかけんな」
言っている傍でごろりと腹ばいになって漫画を読んでいるアホが一人。
赤点の常連の癖して堂々と漫画を(しかも俺のを)山積みにして。
何しにきたんだよ。
「スティングがうるさいんだよ」
「そう思うんだったら少しは勉強しろよ!!くつろいでんじゃねーよ!!」
おいっ!!
なんで俺が試験勉強のときでも突っ込み役になんなきゃなんないんだよっ。
「アウル」
あ、我らが天使ステラ。
君がこの水頭になんか言ってくれ。
きっと俺の百万の言葉より効果がある(自分で言っていて悲しくなった)。
「ステラ、バカのお嫁さんは嫌」
「おわぁっ?!」
無言でがばぁっと起き上がって熱心に勉強を始めた水頭ことアウル・ニーダ。
お嫁さんはともかく。
いや、ホントびっくり。
でもステラの台詞、なんか棒読みっぽかったような・・・・・。
「わぁ単純。狙い通りね」
「馬鹿とはさみは使いようだ」
・・・・なるほど。
演出者はあなたたちですか。
俺の百万の突っ込みより効果あったよ。
毎度ながら・・・・頭が下がります。
や、俺はシン・アスカ。
花の16歳っ。
俺はまだまだ未熟者のようです・・・・。
今回はシンの視点。いつも赤点すれすれのクセして勉強しようとしないアウルにステラがはっぱをかけます。台詞はレイルナが監修。シンの白万の言葉より彼女の一言がアウルを多いに奮いいた足せるのです。そして勉強を教えてくれる代わりにこき使って来るレイ。同じく教えてくれる代わりにおやつをおごらせるルナ。試験勉強中でもお元気なヴィーノに突っ込み役のヨウラン。試験中でも皆は賑やかです。
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期末テスト
ネオとスティング
アウルとステラは仲間達と隣のシンの家で勉強会だ。
いつも真面目にやらないアウルもシン達と勉強するようになってから大分赤点が減ってきた。
兄の俺としてはとても嬉しい。
あとでとびっきりのお菓子を焼いて持って行ってやろう。
冷蔵庫に冷やしてあるクッキーのタネもあるし。
取って置きのお茶の葉もある。
喜ぶぞぉ〜〜。
・・・・それはおいておいて。
問題は目の前でエロ本に鼻の下を伸ばしている我らが保護者だった。
「ネオ」
「ムフフフ、うひょーーーー」
・・・・・ダメだ聞いていねー。
俺は胸いっぱいに息を吸い込み、息を止めた。
そして。
「ネ〜〜〜オ〜〜〜!!!」
ビリビリと窓が揺れ。
食卓や戸棚ががたがたと音を立てた。
そして振り子のように頭を揺らす仮面の男。
「もうちょっと優しくして欲しいなぁ」
エロ本を手にしたまま、人差し指を立てるなよ、おっさん。
「2週間後には期末テストだぜ」
「ああ、そういえばそーだった。どーりでアウルやステラの姿がないんだ」
ぽんと手を叩くネオに俺は頭痛を覚える。
この様子だと聞くまでもないような気がする。
だが、もしかしたら。もしかしたら、だからな。
「期末試験の問題出来ているよ・・・な・・・・?」
「あ」
ぴしっという音を立ててネオは文字通り固まった。
今度はおれの胃が痛み出した。
きりきり。
きりきりと。
「・・・・出来ていねーのか・・・・・」
「あーじゃあ課題提出って事でv作文とか」
「アホか!!」
この不良教師!!
何が作文だ!!
小学生じゃねーんだぞ!!
「スティング・・・・家長として頼みがある」
咳払いを一つして大まじめになるネオ。
聞かずとも分かっているがとりあえず聞いてみよう。
「なんだよ」
「テスト作成手伝ってvパパ、ピ〜〜〜ンチ♪」
何がパパだよ、このアホ仮面。
前回もそうだったよな。
しかも添削までやらせやがって。
でもネオの授業は面白いし、生徒からの評判はすこぶるいい。
教えるのは天職みたいなんだがな・・・・。
「ネオ」
「なんだい?」
「テストで評価するのは嫌なのかもしれねーけど、
教え子たちのためだぜ?いずれ受験もある」
「・・・・・分かっているよ」
ネオはおちゃらけているように見えるけれど。
本音はいつも別なところにある。
でも誰もがそれに気づいてくれるわけじゃない。
「お前が分かっててくれればそれで良い」
ネオはそう言うと仮面越しに笑った。
そんなんだから俺はあんたに敵わない。
仕方ない。手伝ってやるか。
俺も笑って、ネオの好きな玄米茶を淹れてやろうとたちあがる。
「茶菓子も欲しいなぁ」
「はいはい」
ポツリと漏らされた一言に俺は取って置きの茶菓子をご馳走してやろうと思った。
点数で生徒を評価したくないと考えるネオ。
このあと、スティングから宮沢賢治の話を聞いて感動したネオは試験方法を真似たりするのでしたが、かえってみなの点数が下がってしまったとか。(宮沢賢治の問題は曲者で、試験に出すところを教えてくれるのですが、授業をしっかり聞いていなければ、教科書の丸暗記でも答えられないものばかりだったそうです )
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期末テスト
イザークと忠実なる下僕たち+α
もうすぐ本年度も終わる。
センター入試は秒読み段階に入り、国立の入試も近い。
俺たち三年は刻々と卒業へと向かっている。
だが!!
卒業までに俺はやり残した事がある!!
それは!!
「アスラーン!!勝負だぁっ!!」
「また?」
フフン。
前回のチェス勝負は俺の勝ちだっただけにアスランの奴は露骨に嫌な顔をした。
また負けると思って怖じ気づいているのだろう、腰抜けめ。
俺が勝ち越すまでこの勝負は続くんだ、分かったか!!
「・・・・チェックメイト」
「ぬわぁにぃっ!!」
こ、この俺が負けるなんて何かの間違いだぁっ!!
「くっそぉおおおおおおおっ!!覚えていろぉおおおおおおおっ!!」
油断していたとはいえ、この俺が負けるなんて!!
ええい腹が立つ!!
ん?投げるものがないっ!!
どういうことだ!!
「俺の私物お前がほとんど壊したんだろ。
さすが壊されたくないものはみな倉庫にかたした」
投げようが振り回そうがオッケーなものばかりだぜ、などとディアッカのあほは抜かした。
このやろう、俺が破壊魔みたいに言いやがって!!
くそくそくそぉ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!
こうなったら勝ち越すまで通いつめてやる!!
「いや受験もあるし、卒業まで時間がないぜ?」
「ぬ・・・・ぬう・・・・」
ディアッカもたまには正しい事をいう。
卒業してしまったら勝負を挑みにいくのもままならない。
このままアスランに勝ち逃げされてたまるか!!
どうする?
どうする!!
このとき稲妻のようなひらめきが俺の脳裏にひらめいた。
「そうか!こういう手があったぁっ!!」
「なんだよ?」
「俺は留年するぞ!!」
「はあ?」
俺とした事がなんでもっと早く気づかなかった!!
同じ学年になればテストや体育でも勝負を挑めるじゃないか!!
「しょ、正気か?!イザーク!?」
「当たり前だ!!そうと決まったら落第するぞ!!」
ふっ。
この優秀な俺が落第をたくらむなどさすがのアスランも思いもよらないだろう。
奴の驚きが目に浮かぶようで自然と笑いがこみ上げてくる。
そうと決まったら即実行だ!!
・・・・ん?
待てよ。
「落第の仕方が分からーんっ!!」
「・・・・いい加減にしてくれよ・・・・って。聞いちゃいないでしょ、イザーク」
どうやったら赤点など取れるのだ?!
どうやったらあの水色の壮絶馬鹿みたいに赤点をぽんぽんと取れるのだ!?
世界の七不思議だ!!
「お前、アウルだけではなくて世間にけんかを売ってるぜ・・・・」
というわけで俺はあの水頭のいるクラスに出向いてその秘訣を聞いてみることにした。
「あんた、僕にケンカ売ってンの?」
「馬鹿か、貴様はっ!!どうしたらそういうふうに馬鹿になれるか聞いているのだ!!」
これだから馬鹿は。
この俺が頭を下げて聞いてやっているというのに口を開けて見ているだけか。
「・・・・イザーク。ふんぞり返っていても一ミリも下げてないんじゃない?
ちょっと聞いてる?」
「離せ!!こいつ殺す!!」
「アウル、どうどう」
ちっ、役立たずめが。
残念ながら俺はその方法を聞きだす事が出来ず、後日、俺は卒業後どうやったらアスランに勝負を挑むめるかを考えていた。
ふと脳裏にひらめいたひとつのアイディア。
「ここの大学に入れば高校の校舎は目と鼻の先だ!」
なんてすばらしいアイディアだ!!
俺の学力では余裕だ!
よし!!俺はシード学園の大学部に行くぞぉ!!
「・・・・イザーク先輩、やっと気づいたみたいですね・・・・・」
「ホント。ところでイザーク」
「なんだ?」
「スティングの奴が『アウルの奴が今までにないくらいやる気出している。お前のおかげだ感謝している』といっていたぜ」
?
何の事だがさっぱりだ。
だがそんな事はどうでもいい!!
アスラン、いつか決着をつけてやる!
「ついでにアウルの奴が月のない夜道には気をつけろってさ」
「アスラーン!!首を洗って待ってろぉ!!!」
「・・・・聞いちゃいないね」
「そうですね」
ふふん、この俺の辞書には『敗北』などないっ!!
アスラン、俺が卒業したあとも俺から逃れると思うなよぉっ!!!
素でアウルの神経を逆なでしてくるイザーク。
本人は無自覚なので殊更たちが悪いんです。
周囲の迷惑を顧みず、ゴゥイング・マイ・ウェイ(わが道を行く)の権化であるイザークには誰も適いません。
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