秋かぁ。
秋といえば食欲の秋。
スポーツの秋。
読書の秋。
芸術の秋。
春のように花粉に悩まされることもなく。
夏の暑さに辟易させられることもなく。
また冬の寒さに苦しい思いをしなくてすむ。
季節間の中休みとも言える秋は一年の中で最も過ごしやすく、
俺の読書に最適な時期だ。
さぁてっと掃除は済ませたし。
部屋でのんびりと溜まっていた本でも・・・・。
ドンドンドン。
「オ〜ル〜ガ〜、お〜や〜つ〜」
ドンドンドン。
「オルガぁ、ボタン取れちゃったー。これじゃあ遊びに行けないよー」
ドンドンドン。
「オルガッ、僕の紫のスーツをしりませんかっ」
俺の優雅な時間を邪魔せんと部屋の扉をバカスカ殴る阿呆がいる。
それも3人。
・・・・忘れていたぜ。
こいつらは年中無休だった・・・・・。
「てめぇら、『部屋の前に読書中につき立ち入りを禁ず』と張り紙しておいたじゃねーか!邪魔すんなっ!」
「だから部屋の外から声をかけているんじゃないですかっ」
「そ〜だ、そ〜だ」
「張り紙の言葉は厳・守!!してるよっ」
クッ。
なんでこういう時だけみんなしてチームワークが良いんだよ。
花粉大量発生は春。
灼熱地獄は夏。
極寒は冬がメインだ。
こんなはた迷惑なモンだって中休みはあるというのに
こいつらには「定休日」という奴はないのか。
・・・・俺にもくれないのか。
一日で良い。
俺が一人でいられる時間をくれ・・・・・。
読書にいそしもうとしたオルガの邪魔をする困ったちゃん一家。彼らの活動は365日。年中無休なのです。親友のスティング同様悩みが絶えません。
秋といえばうちでは食欲の秋だ。
スポーツの秋はまあ、あるだろうが、
芸術なんぞとは縁遠い。
「おーし!今日はバスケ部行ってくるっ」
「張り切ってるじゃねーか」
「ああ!なんか因縁のある相手らしーぜ。勝ったら焼肉食い放題だってさっ!燃えるって!!」
「・・・・・」
結局それか。
こいつの場合秋に限ったことじゃねーが。
「月曜日はバレー部で幕の内弁当付き」
「火曜日はサッカー部でお好み焼き」
「水曜日は陸上部で焼肉」
「木曜日は体操部でラーメン」
「金曜日はバスケ部で焼き傍とたこ焼き」
あ、きょーは焼肉って言っていたな。
太っ腹じゃねーか。
よっぽど勝ちたいんだな。
「食ってばっかりじゃないですか!!」
「まあそれがあいつの楽しみという奴だからな」
「・・・・いや論点違うし。
少しは真面目にスポーツに打ち込めーとか言わないのかな・・・。
なんかみんな慣れきっちゃってるから
俺が言っていることのほうがおかしく聞こえる」
アウルの一週間。まさに食べるため。秋だからいっそう拍車がかかってます。ロアノーク家はそんな彼に慣れきっているため、特になんとも思ってませんが、シンの目からしてみれば突っ込みどころ満載。ちぃった真面目にやれよと言いたいのですが、周りがあまりにも普通にしているので自分の感覚に自身が持てなくなってきています。朱に交われば紅くなるという格言のように彼もそうなる日が近いかも。
秋といえば芸術の秋だ。
緑葉の木々が紅葉と装いを変える様はなんともいえない感動を呼ぶ。
ちらちらと舞い落ち、道に紅の絨毯を作る彼らの姿を絵に残しておきたいと思うのも至極当然だろう。
そう、この紅葉の瞬間を少しでも捉えられたら。
「・・・・ルナマリア」
「ん〜〜〜?なによ?」
大きな竹箒を持って不意に現れた見慣れた紅。
俺の前で落ち葉掃除がはじめられ。
美しい彩の絨毯が見る間にうずたかく積み上げられてゆく・・・・。
落ち葉を掃除をするのはいいことだ。
環境の美化はすばらしいと思う。
だがその前に。
この美しい景色をまず堪能しようという気持ちはないのか。
「・・・・おい」
「なによ」
そしてお前の傍らにある芋の入った大袋はなんだ。
・・・・嫌な予感がした。
「あ、これね。大丈夫!ちゃんとレイの分もあるからv」
「ま・・・・」
そういう問題ではないだろう。
俺が次の言葉を発する前に紅葉たちに火がつけられ、勢いよく燃え上がってゆく。
「て・・・・・」
遅かったか・・・・。
静止しようとした手がむなしく宙をさまよう。
赤々と燃える炎の前でわらわらと集まってくるいつもの面々。
「イモ〜〜〜」
「ヴィーノ、慌てる乞食は貰いが少ないというぜ」
「このでっかい芋は僕が持ってきたんだから僕のだかんな!!取ったら殺す!!」
「誰が取るか!」
「ステラの・・・・どれ?」
「ん〜ちょっと待ってて」
あんなに鮮やかだった紅葉たちが見る間に炭へと化してゆく。
芸術の秋があっという間に食欲の秋となってしまった・・・・。
「あ、これ焼けてるよ〜〜〜」
渡された焼きたての芋を手に俺はただ呆然と立ち尽くした。
心なしか秋風がとても肌寒く感じられた。
芸術の秋だ、と張り切っているレイの目の前で美しい紅葉たちがごみ同然に掃き集められ、芋を焼く燃料と化していく様を綴った一本。芸術の秋より食欲の秋の面々を前にレイの哀愁が漂います。実話に基づいた一本でした。
秋?
ん〜〜秋といえば芸術じゃない?
音楽とかのんびり聴いてるのスキだね。
かぜも気持ちいいから曲作るのもいいかも。
みんなと言えば。
「今日こそこの一冊を読破してやる!!邪魔したら晩飯は漬けものだっ!!」
オルガは読書の秋。
「必・殺!!」
クロトはゲームの秋。
「今回の取引は儲けもんですよ〜〜〜〜Vv」
おっさんは物欲の秋。
「グーグー」
スティングは昼寝の秋。
「えーと今日はバスケ部で焼き肉っと・・・・」
アウルの馬鹿は食欲の秋。
「ウヘヘヘ、このねーちゃんおっぱいデカイ・・・・」
仮面のおっさんは色欲の秋。
エトセトラエトセトラ。
あ、ステラはもちろん俺と芸術の秋。
一緒に歌おうね。
「うんっ!!」
「どさくさにまぎれてステラに触んな、コラぁっ」
「また来た・・・・。うざ〜〜〜〜い」
シャニの目から見た面々。ここでオクレ兄さんの趣味の初披露。天気の良い気持ちの良い日はシャニやステラは歌とか歌っていそうですね。いつの間にやらかぎつけてきたアウルの乱入はお約束という事で。すぐあとにシンも加わります(笑)
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