拍手ログその13

アウルにとってのステラ




一言で言えばアイツはバカ。

天然というヤツも言うけれど、バカが一番しっくり来る。

何も考えないし、考えようともしない。

そんなアイツがうっとおしいけれど、羨ましくもある。


海を見ていれば幸せ。

遊べたら幸せ。

うまいモン食っていたら幸せ。

ほめられたら幸せ。

エトセトラエトセトラ。


ホーント、幸せなヤツ。

アイツがそんな風に頭に華咲かせてばっかだから
その分のお鉢は俺等に回ってくるけれど。

まあそれは世の理ってヤツ?

生きるモンには各々の役割分担があって、アイツは和み担当。

良い具合にバランス取れてっからそれでいい。

今はそう思える。



「・・・・アウル?」

「いーから、大人しく抱かれてろ。バカ」

「・・・・うん」













アウルにとってのステラ
After the War編




ステラの印象?

かーさん、かな。

昔じゃ想像もしなかったというかできなかったとういうか・・・・。

まあその片鱗は見えてはいたけれど
それ以上に
危なっかしくておバカの印象の方が強かったからなぁ。

今のステラは秘かに尊敬さえしている。

だって子ども産んだんだぜ?

それも二人も。

その子どもは五体満足で元気いっぱい走り回ってる。

そんな二人を10ヶ月近く腹の中に抱えて、丸1日掛けて産んでくれた。

とんでもなく大変だったんだろうけれど、男の僕じゃあ想像も付かない。

だから尊敬してる。

そしてそれ以上にステラには感謝している。

僕に家族をくれたから。

そして僕の居場所もちゃんと残してくれている。

今ではだれもアイツを危なっかしいというヤツはいない。

ちょっとばかしおバカな所は変わりないけれど、
それが無くなったらステラじゃなくなっちゃうじゃん?


でも僕は、と言うと。

今でもガキだ、ガキっぽいってあちこちで言われていて。

アレ?

もしかして変わっていないのは僕だけ?



「〜〜〜〜〜」

「パパ、難しい顔してる」

「ほんとだー。眉間にこーんなに皺よってる」

「アウル・・・大丈夫・・・・?」

「あんまり考え込むな。頭の中がショートするぜ?」














アウルにとってのステラ
学園編




ステラは天然で時々凶暴。

そして忘れん坊。

いっつもぼーとしているくせに怒るとすっげー怖い。

刃物飛ばしてくるかと思えば、机が飛んでくる事もある。

フライパン振り回すのもやめて欲しい。

一回怒るだけ怒ると綺麗さっぱり忘れてくれるのは
とっても有り難いけれど。

覚えてて欲しい事も忘れてしまうのはどうかと思うよな〜。



たとえば約束。

昔の約束とか。

お嫁さんの約束とか。


男から催促すんのってかっこわりぃーじゃん?

いつ思い出してくれんのかな。

ちぇっ。



「ステラは僕のだっつ−の!!ステラに近づくな!!」

「いつお前のになったんだよ!?」

「うざ〜〜い」









アウステベビー

幼稚園編



双子あーんどネオ編




自称永遠のナンパ師、ネオ・ロアノークは今日も元気だ。

気に入った女には声を掛けるのが礼儀だと信じて疑わない。

例え相手が幼稚園児だったとしても。

ネオはおやつのスイカを頬張っている双子の前を陣取り、
アウステの一人娘ににこやかに声を掛けた。


ネオ「おーなんか、ステラに似てきたねー」

娘「?」


百万ボルト(本人談)の笑顔で微笑むも、
アウステの娘はおかまいなしに
隣の兄のスイカに手を伸ばす。

無視されてへこむネオ。

アウステの息子は自分の更に伸びてきた手に困ったように
自分の領域を主張する。


息子「・・・・それ僕の分・・・」

娘「おにーちゃん、ちょうだい」


だがにっこりと笑ってそう言われると兄は断れず、
黙ってスイカを妹にあげた。

満面の笑顔でスイカを食べる少女に
ネオは先ほどの落胆を忘れ、口元をゆるめた。



ネオ「はっはっ、可愛いなぁー。どうだ、この俺とランデブーにでもいか・・・・・」


ドカッ。

カカカッカッ。


ネオ「うひょっおッ!?」


言葉が終わらないうちに飛んできた無数のナイフにネオは壁に縫いつけられた。


アウル「心臓の位置は・・・・っと」


殺気に満ちた形相のアウルが指の間に構えたナイフでネオに狙いを定める。

その隣でスティングが無表情に事の成り行きを見守り。

ステラはニコニコと笑っていた



ネオ「じょ・・・冗談だっ!」






その2 息子編




自称永遠のナンパ師、ネオ・ロアノークは今日も元気だ。

気に入った女には声を掛けるのが礼儀だと信じて疑わない。

例え相手が幼稚園児だったとしても。

だがアウステの娘に声を掛けようとしたものの

無視されたうえ、その親の殺気に身を引かざるおえなかった。

本日一敗。

例えようもない敗北感で溜め息をつくネオに
アウステの長男坊が心配そうな眼差しを向ける。

大人しいこの少年がアウルに似ないで良かったなぁと
ネオはほっと息をつくとにっこりと笑った。


ネオ「いやぁ、そう見つめてくれるな。俺ってそんないい男かぁ?」


グシャ。


頭上に叩きつけられたスイカで一瞬目の前が真っ赤になる。

驚愕のネオが視界をあげると、スイカの乗っていた
皿を抱えてテーブルの上に仁王立ちになった幼い少年が
殺気に満ちた表情で彼を見おろしていた。


「・・・・僕は男だ」


その絶対零度の声色は先ほどまでの少年とは別人を思わせた。

ついいつもの調子で言った事が彼のブロックワードに触れたらしい。


「そんなに怒るな、可愛い顔が台無し・・・」

可愛い、と言う言葉に少年はこめかみを引きつらせ、殺気がふくれあがった。

フォローを入れたつもりが更に少年の怒りを煽ってしまったらしい。

少年は分厚い大皿を頭上に振り上げた。


「ぶっ殺す」

「やめんか!ネオもこいつをこれ以上怒らせないでくれ!
周りに被害が出るっ!!」

皿を叩きつけようとする少年を流石にスティングは止めに入った。

アウルはち、余計な事をと舌打ちした。


「おにーちゃんどうどう」

「乱暴はダメよ・・・?」


ステラと妹になだめられながら桜色の瞳を
ギラギラさせているこの少年は
普段大人しいが、怒ると行動がアウルとそっくりになる。

前言撤回。

やっぱり親子だなぁとネオは感心した。





あとがき


3人のアウルから3人のステラへのショートSS。
それぞれの想いに個性が出ていたらな、と思いました。
そしてアウステベビー。
オマケに拍手で収録しなかったもう一本もいれました。
アウルは自分の子にちょっかいを出すヤツは誰であろうと地獄行き。
ステラは止めないでニコニコ。
スティングでさえたまに被害に遭います(双子日記参照)
子煩悩なアウステでした。