七夕限定拍手




七夕限定拍手その1





笹の葉さーらさら。


声高々に歌って短冊を下げるステラを少し離れた所で眺めるアウル。


「これを下げると願い事が叶うんだって」

「へえ。何を願うんだよ?」

「ないしょ」

「あ、そう」


もう少し突っ込んでくれればいいのに、と不満げなステラを無視し、

アウルは空を見やった。


空には満天の星。

今朝まで灰色に覆われていた空が

梅雨時だったにもかかわらず、まるで奇跡のように晴れ渡った。

星空を願った彼等の願いそのままに。


「みんなずっと一緒にいられるといいね」


「・・・・」


来年も一緒に見れたらいいねというステラの呟きが空に溶けて消える。

来年はどうかはわからない。

でももし見れなかったとしても。

いつかまたこの空の下で巡り会う事を。

また巡り会える事を。

言葉なく。

アウルは星にそう願った。



















七夕限定拍手その2




七夕伝説パロディ



牽牛:アウル
織姫:ステラ
カササギ:スティング
天帝:ネオ

でお送りします♪






昔々在る所に口の悪い牽牛と天然ボケの織姫がいました。


牽牛の名をアウル、織り姫の名をステラといいました。

牽牛は毎日牛の世話を、

織姫は機を織る仕事をそれぞれしておりました。

ところが。




アウル「なんで僕が牛飼いなんだよ!?」


牛飼いの仕事が気にくわないアウルは腹いせに毎日牛たちを追い立て、彼等をいじめて憂さ晴らしを。



ステラ「・・・・あれ?機織り機、また壊しちゃった・・・」


ステラは機を織るペースより機織り機を壊すペースの方が早い非生産的な毎日を送っておりました。

これでは仕事は思うようにはかどってくれません。


ネオ「こりゃあ、俺の人選ミスかな? 」


困った天帝は二人を一緒にする事にしました。

アウルなら器用なのでステラの機織りを。

大人しいステラを牛の世話を互いに補い合ってくれると思ったからです。






ところが。






アウル「ステラぁ、膝枕〜」

ステラ「うん。アウルの髪、うみのいろ・・。さらさら・・・・」


彼等は毎日ベタベタするばかりで前よりずっと仕事をしなくなってしまいました。

これでは本末転倒だ、と天帝は慌てました。


ネオ「お仕事をさぼっちゃだめだよ〜」


アウル「うっせぇ、変態仮面!!散々こき使っていたくせにまだ使うのかよ!?」


上司を上司と思わないアウルに流石のネオもご立腹。


ネオ「上司に向かってその口はなんだい?月に変わってお仕置きしちゃうぞ?」




アウル「エロ仮面」







口の悪さが災いしてか牽牛と織姫は引き離されてしまいました。

二人の間を流れるは天の川。

とても歩いて渡れる深さではありません。

また流れも急で常人では泳いで渡る事もかないません。

そこで一年に一度、七夕の日にカササギが彼等の間の橋渡しとなり、

彼等を引き合わせてくれる事になったのです。




「やれやれ。結局俺かよ」




天帝の名により橋渡しの役目を仰せつかったカササギことスティング・オークレー。

傍らの愛機、カオスを見やって大きく溜め息をつきます。

今日は七夕。

出陣の日です。





ところが。






「あれ?スティング来たの?」

「アウル?まだ迎えに行ってねぇのに何でここにいるんだよ?」



アウルは既にステラの元におり、いつものように彼女の膝の上で寝そべっておりました。

まだ迎えに行っていないはずと混乱するスティングにアウルはにやりと笑って見せました。


「僕のアビス、泳げるンだよ?天の川なんて無いも同じだって。ネオもバカだよねぇ〜」

「ネオには内緒・・・」

「バレねぇように仕事もしてんだからいーじゃん?」


まるで悪びれた様子もない二人にスティングはまた大きく溜め息をつきましたが、

仕事はやっているようだからいいかと納得しました。

結局カササギことスティングは二人が可愛いのです。

天帝の命令は彼にとって二の次です。

うまく口裏をあわせて彼等は末永く幸せに暮らしましたとさ。

めでたし、めでたし。