注意!!

「狭い世界」のステラ視点。

当然アウルが黒いです。

性的表現有り。

苦手な方は見ない方がいいかもしれないです。



それでも好いという方はどうぞ。


















物心ついた頃から。

ううん、そんな記憶さえも曖昧だけど。

覚えている限り、私には自分しかなかった。

他に何もなかった。

ラボで生き残るために毎日のように行われるサバイバル。

むせかえるような血のにおい。

吐き気がするほどおぞましい、血と肉の感触。

だけど殺さなければ、殺される。

そんな世界に大事な物など在るというの?

必要なの?


そう、思っていた













生まれた日














毎日が恐怖だった。

目の前で自分と同じ子供が殺され、自分もまた殺す。

いつ自分が殺され側になるか分からない、そんな毎日。

ナイフ越しに伝わる肉が裂け、骨の砕ける感触。

飛び散る暖かい血。

悲鳴。

もしくは悲鳴を上げようとしてもかなわなかった、のど笛から漏れる

ひゅーひゅーとした空気。

戦闘が終わって我に返ると恐怖とおぞましさ、

悲しみが堰ききったように押し寄せてきて、

気も狂わんばかりだった。


だから何も見ないようにした。

何も感じないようにした。

自分を奥深く閉じこめて、周りの喧噪を、その悲惨な事実を素通りさせていった。

まるで自分に関係のない、遠い世界の出来事のように。

そうすれば何も怖くない。

何も悲しくないから。





どれくらいの時間をそうして過ごしてきたか分からない。

気付くと身近に二人の人間が増えていた。

一人は刃物のような鋭さを持つ男の子。

私より2つくらい上だと聞いた。

名前を・・スティング。


もう一人はとても綺麗な顔をしていた。

今まで見てきたどんな子よりも綺麗で、男の子だと思えなかったほど。

名前をアウルといった。





「お前がステラか。これから3人一組だ。頑張って生き残ろうな」


鋭い外見とは裏腹に。

このような血なまぐさい世界にそぐわない、優しい光を瞳に湛えて

スティングはそう言った。

でももう一人の男の子ーーアウルは私など歓迎していないかのように

冷たく私を見据えていた。






新たなルール。

よく分からなかったけど、生き残るには3人一緒でなければいけないという事。

一人でも二人でもだめ。

絶対に3人。

そんな厳しい条件の中、私たちの生活がスタートした。



3人になったら更に何も考えなくなった。

考える必要が無くなったから。

何も考えない。

考えなければ何も分からない。

悲しくない。

辛くない。

考えるのはスティングがやってくれる。

私は言われたことだけすればよかった。


戦闘の時間以外は私は特に何もしないで過ごした。

仲間の二人に話しかけたり、注意を払うわけでもない。

今までずっと一人だった。

昔誰かが私に武器の使い方を教えてくれていたけど、それだけ。

チームを組むまではこの世界で友達とか仲間とか作っても仕方がなかったから。

一人でいるのに慣れきっていたせいで、どうすればいいのか分からなかった。

分からないのならば考えない。

考えても仕方ないから。


そんなある日。

珍しくスティングの姿がなく、アウルと二人きりで。

いつもの気配が無くて私は不安になった。

このとき私は初めて不安という感情を感じていた。


いつの間にスティングとアウルの存在に安心していた自分がいて。

そのことに驚きと新鮮さがあった。


「何見てンの」

「・・・・・」


冷ややかな声に我に返って

顔を上げると、大きな蒼い瞳がすぐ目の前にあった。

それも息の掛かるくらい近くに。

いつの間にこんな近くに来たの?


「分かんねぇか。映してるだけで、俺らのこと見えてねぇもンな」


アウルはそう言うとククッと喉を鳴らすように笑った。

綺麗な顔に似つかわしくない、笑い方。

・・・そして表情。

いつもの無邪気な顔は何処にもなく、戦闘時と同じ顔があった。

無意識に戦闘用のスイッチが入る。

だけど私よりアウルの行動の方が早く、

気付いたときは堅い寝床に叩きつけられ、組み敷かれていた。

もがいても力は強まるばかり。

その力から小柄で女の子のようでも彼はやはり男だということを再認識させられた。

そして私が動けなくなると、彼は力ませに上衣をひき千切った。

ボタンがはじけ飛ぶ。


殺される・・・?


生き残れるのは3人一組のはずなのに。

ルールが変わったの?

恐怖で視界がにじむ。

いや。

死にたくない。

死にたくないの。


「・・殺されたくなかったら、大人しくしろよ。馬鹿」

「・・・・?」


アウルの言葉の意味が分からず、見上げても、

彼はマリンブルーの瞳に冷たい光を湛えたままだった。

口元にはかすかな笑み。

殺す気はないの?

ならどうしてこんなコトするの?


「そうそう。分かってんじゃん」

「あう・・る・・んうっ」


答える前に唇を塞がれた。

熱い舌が侵入してくる。

そして歯をこじ開けると私の舌を絡め取り、強く吸った。

意識がもうろうとして力が入らない。

そのまま大量に送り込まれてきた彼の唾液を飲み込んだ。


「!!うっ・・あっ」


はだけて露わになった胸を鷲掴みにされ、その痛みに声を漏したけど、アウルはお構いなしだった。

唇を離すとそのまま首筋から鎖骨にかけて舌をはわせてきた。

今までになかったその感覚に鳥肌が立った。

何をしようとしているの?

この行為に何の意味があるの?

そう思っている間も彼の手と舌は私の身体を這い回り、

身体の奥底から沸いてくる「何か」が怖くて、私は声を出すまいと必死だった。


「や・・ぁ・・っ・・!」


けれど下衣を引き下ろされたときは驚きのあまり声がついて出た。

それを聞いてアウルは嬉しそうに笑みを浮かべると、脚の間に身体を割り込ませてきた。

反応が遅れて閉じて抵抗することも出来なくて。

そのまま脚を開かされた。


「・・・!?」


今度は何のつもりだろう?


「・・・濡れてンじゃん。お前初めてじゃねぇの?」


彼はそう言ってクスクス笑った。

何を言っているのかさっぱりだった。

もうやめて欲しかった。

でも体が熱くてしょうがないの。

私の中の「何か」がうずいて求めている。

・・でも何を?



「ひあっ・・・!?」



うずいて熱くなっている中心を彼の舌が割って入って来る。

中のつぼみを転がされるともう我慢が出来なかった。


「あ・・・っあぁっ・・はっ、あああっ・・・っ!」


頭が真っ白になる。

息をするのがやっとで視界がぼやける。

私の身体、どうしてしてしまったのだろうか?


「はやっ、もうイったんだ」


笑いを含んだアウルの声が遠くに聞こえる。


「でも僕も限界なんだよね。こんだけ濡れてるし。・・そろそろいいか」


何が好いの?


と思った瞬間。


熱くて圧倒的質量を持ったモノが私の中に侵入してきた。


「んっあぁっ!?」


痛みと驚きに悲鳴を上げる。

だけど焼けるように熱いソレは激痛を伴って無理矢理入ってくる。

いや。

怖い。

怖いっ!!


「力を抜け、馬鹿」

「や・・。お願い、アウル。抜いて…・・痛・・い」


激痛に耐えるのに精一杯で声を出そうにも出ない。

やっと出せた声は消え入りそうで。

でもアウルはやめてくれなかった。


「力を抜けつーの、この馬鹿!」


彼のいらだった声に怯え、力が抜けた瞬間。


「ひっ・・・・!あっ…・・あああっ・・!!」


堅いモノに奥を突かれ、目眩がした。


奥にまでは入り込んだ異物感に対する嫌悪感に涙が溢れ、頬を伝わる。

その涙をアウルは舐め取ると再び唇を寄せてきた。

舌を絡めて唇を貪られる感覚に酔ってしまったのか頭がくらくらする。


「ン……・っ。ふっ・・。んん・・っ」


どちらのとも分からない声に吐息。

汗ばんだ身体。

密着した私たち。

二つだった身体が一つの器官でつながっているの。

口びるの角度が変わるたび。

強く吸われるたび、腰を強く打ち付けられて痛みが走った。

最初は小刻みに。やがてゆっくりと大きく。

身体の奥へと打ち付けられる感覚。

やがてその感覚は痛みから快楽と言うべき感覚に変わっていった。

自分のモノとは思えない、艶声が出てくる。


「やぁ……・っ。ああ……・あん・・・ぁっ」

「はあっ、・・・・はあっ・・。んんっ・・」


息も荒く、腰を打ち付けてくるアウルも白い頬が紅潮し、汗が流れている。

二人の荒い息。

二人の声。

聞いたこともない水音は狭い部屋に響き、外に聞こえはしないだろうかと思ってしまうほど大きくて。

そして部屋に充満するむせるような体臭と熱。

・・もう限界。

おかしくなりそうだった。

体の中から押し寄せてきた、強い波に背中を弓なりに反らせシーツを必死に掴んだ。


「や・・・。もう…・だめっ・・・。あああっ……・っ!!」

「あ・・・っ!!締め付けんな・・!あっ・・くっ」


彼が眉をひそめ、息を吐き出した。

その瞬間。

強い一突きと共に熱い液体が自分の中に注ぎ込まれていった。


「んんぁ・・あぁ・・ふぁああ。・・あぁ・・んっ」


その熱さに。

その激しさに息を吐き出すのがやっとで身体が震えた。

アウルも私の首筋に顔を埋めて小刻みにふるえていた。








・・・覚えているのはそこまでだった。

気付いたときはまだスティングは帰って来ていなくて、

毛布が軽く掛けられ、アウルの姿はなかった。

でも裸同然の自分の姿と下半身に残る違和感が、あれは夢ではなかったと明確に物語っていた。

入浴の時間までまだ時間があったのから

体を拭くのにとどめ、着替えた。

まもなくスティングとアウルが帰ってきたけど、私は何も言わなかった。

怪我をさせられわけではなかったし、言うほどの事じゃないと思ったから。

それから幾度と無く、アウルは私を求めるようになった。

最初は名前を呼ばなかったけれど、次第に私の名前を呼ぶようになり。

彼の名を呼んであげるとそれに応えるかのようにきつく抱きしめてきた。

でも回数が多いこともあり、さすがに気づいたスティングに何かと問いただされることがあったけれど、

私は黙っていた。



共にいる時間が長くなって

張りつめていた気がゆるんだのだろうか。

私たちに気を許し始めたのだろうか。

夜皆で寝るとき。

彼は時折無意識に涙を流すようになった。


そのとき背中にそっと身を寄せると決まって彼は泣きやんだ。

何を求めているかわからないけど。

彼は寂しいんだろう。

けれど強気な彼はきっとそれを認めようとしないだろう。

どんな形であれ、彼はわたしを必要としてくれてるのなら受け止めてあげよう。

私がアウルに出来るのはそれだけなのだから。






そして訓練が中盤にさしかかった頃。

野外でのサバイバルではアウルがかつての同胞と戦っていて

討たれそうになったとき、

私は躊躇なくその同胞を殺した。

何かと武器の使い方を教えてくれた同胞だったけれど迷わず急所にナイフを放った。

アウルを殺させない。

大切だから。

彼はそのあと殺してしまって良かったのか、自分が憎くなかったのかと聞いたけれど

わたしは迷いなく否定した。

彼がいなくなる方が嫌だと。

でも私の言葉が足りなかったのか。

彼は鼻で笑っただけだった。





彼を失いたくないという感情。

彼を「守りたい」と思ったこと。

その「守る」という感情を、そのときのわたしはまだ分からなかった。

でも。

私の中にかけがえのない感情が生まれた瞬間だった。

一つの氷が溶けると他も融解するかのように氷が溶けていく。

少しずつ感情を取り戻してゆく。

スティングとアウルと過ごしていくうちに

3人一緒が当たり前になった。

記号ではなく「個人」としての認識。

スティングは優しく見守ってくれる。

アウルは意地悪だけど、やっぱり守ってくれる。

あまりにも当たり前すぎて、ときたま忘れてしまうこともあったけれど

この二人の存在は私にとって無くてはならない人たち。

彼らがいる限り「私」は「ステラ」でいられる。

何も心配することも悲しむこともない。

この二人に出会って「ステラ」は生まれたの。











後書き


長くなりました。すみません。

一応アウル編の「狭い世界」と対になっているのであわせて読んでいただけると

嬉しいです。二つあわせると膨大になりますが(爆)

読んでくださって有り難うございました。

性的表現なんて初めてで、だめだめですが……裏にした方がいいですかね(大汗)