議長率いるザフト軍との決戦を控え、エ ターナル、AA、そして共闘することになったミネルバの三隻は機動要塞メサイア に向けて進軍していた。誰もがこれから始まる激戦を思い浮かべて憂鬱になる。
そして着替えも終わり皆でハッチに向かおうとした時であった。
「レイ・・・ !!」
聞き慣れた自分の名を呼ぶ声にレイは振り返った。ブリッジから急いで 来たらしく少し息を切らすメイリンを見て、どうやら自分に用事があるようだと 察したレイはシン達に先に行くように伝えてメイリンに向き直った。
「メイリ ン、どうした?」
「よかった・・・もう格納庫に行っちゃったかと思った・ ・」
レイからしてみればこの非常時にブリッジからメイリンが抜けている事が 一大事なのだが艦長が許可したのだろうと思い、黙って先を促した。
「レイは ・・・戻ってきてくれるよね?」
「いきなりどうした?俺は・・・・」
いきなり告げられた言葉に困惑しながらも言おうとした言葉をメイリンはさえぎる。
「なぜかレイが居なくなっちゃうような気がしたから・・・生き急いでいるみた いで・・・」
「・・・・・・」
涙ぐみながらも話すメイリンはいつもより美 しく綺麗に見えた。自分の前では常に笑顔だった少女の初めて見せた涙にレイは 戸惑い、言葉を失う。
「ごめん・・・!出撃前に変な事言って・・・」
黙りこくったレイを気遣い、無理やり笑ったような笑顔を見せながら、頑張ってね! と手を振りながら離れようとするメイリンにレイは内心では動揺しながら、少し
微笑みを浮かべながら
「わかった、必ず戻ってくるから。だから待っててくれ 。」
そういって、安心させるようにメイリンの頭にポンと手を置くと彼女は先 程とは違う華の咲くような笑顔で頷いてブリッジの方に去っていった。
手早く レジェンドのOSを立ち上げながらレイはつい先程の出来事に思いを馳せる。きっ と彼女は気付いていたのだろう。たとえこの残り少ない命を懸けてでもギル・・
・議長を止めようとしていることに・・・・ 今までどこか妹のように接していた メイリンに気付かれて心配されるとは、と自嘲的に小さく笑みをもらした時、も
う体に馴染んだ発信のコールが掛かる。
「レジェンド発信どうぞ!・・・・レ イ、気をつけてね」
最後に付け加えられた言葉。たった一言でも嬉しかった。 必ずここに帰ってこよう、自分はもう研究所で一人だった時とは違う。今は自分の無事を祈ってくれる人、共に戦う戦友も居る。死ぬわけにはいかないな・・・
。とそっとため息をついてレイは前を見据える。大切な人達を守るために戦う事を決意して、
「レイ・ザ・バレル、レジェンド、発進する!」
あとがき
シャクレ大佐様より投稿いただきました戦後パラレルの流れをくむ戦中パラレル小説です。
レイのもう一つの未来。
少ない言葉で人の心情を語る文章力。すごいです。
メイリンはかわいいし。
レイも・・・・力強い意思を見せてくれて読むものを奮い立たせてくれます。
レイメイは好きなカプの一つでこれも管理人としてとても嬉しかったです。
シャクレ大佐様、素敵な小説をありがとうございました。
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