人のぬくもりを最初に教えてくれたのはオッドアイの少年だった。

 

「誰かが傍にいると安心するよね」

 

雨の日にしか会えなかったけれど彼の存在はとても大きく、

寂しさを忘れさせてくれた。

 





It's your Warmth that I desire







そんな彼がいなくなって途方にくれたとき、

手を差し伸べてくれたのは仲間の金の瞳の少年と。

蒼い瞳の少年だった。

 

「泣くな、よしよし」

 

と金の瞳の少年は頭を優しく撫でてくれ。

 

「あ〜、うっとし〜」

 

文句を言いながらも蒼い瞳の少年は抱きしめてくれた。

 

人の声。

人の息遣い。

人のぬくもりは

一人でいるときより安心させてくれる。

そうだね、シャニ。

あなたの言うとおりだわ。

 

ラボの夜はとても冷たくて寂しい。

闇を恐れて私が泣く夜は

蒼い瞳の少年はめんどくさそうに、

それでも傍にいてくれた。

彼に抱きしめられて眠ると

とても暖かくて、やわらかくて

彼の規則的な息遣いや心音が子守唄のように

私を心地よい眠りへと誘う。

 

傍にいるよね・・・・

 

いつものように彼の形を確かめようと手を伸ばして彼に触れる。

けれどいつもならすべすべとしたやわらかい感触を感じるはずが、

どこか骨ばって感じて。

いつもと違う感触に不安になった。

いるよね・・・?

傍にいるよね?

・・・アウル?

 

 

 

「う〜、撫で回すなよ。くすぐったいじゃんか」

 

ぺちっと軽く頬をたたかれて

私の意識が急速に覚醒してゆく。

最初に視界に飛び込んできたのはラベンダー色の、夜明け前の光。

そして蒼い、瞳。

 

「あうる・・?」

「・・なんだよ」

 

気がつくとラボではなく、ジョーンズの私の部屋。

静まり返った薄暗い空間。

床には脱ぎ捨てられた服。

そして眠る私の傍らにアウルがいた。

ただし、さっきまでの幼いアウルではなく成長したアウルが。

 

「さっきまでぶつぶつ言ってたと思ったら人を撫で回しやがって、何なんだよ?」

「?」

 

生まれたてのひよこのように頭をぼさぼさにして彼は不機嫌そうにそうつぶやいた。

 

「夢、見てた」

 

私がそう言うとはあ?と彼は目にかかる前髪を掻き揚げると

眠たげな瞳をぱちぱちさせる。

 

「シャニが出てきて誰か傍にいると安心するよねって」

 

シャニの名前が出たとたん、アウルの不機嫌な気配が更に濃くなった。

彼の口元が一文字に引き締められ、眉間に皺が寄る。

そんな彼にどうしたの、と聞いてもべっつにー、という不機嫌な声しか返ってこない。

どうして言いか分からなくて、私はとりあえず続きを話した。

 

「そのあとシャニがいなくなって、泣いていたら、

ラボの頃のアウルとスティングが出てきて、大丈夫だよって。

スティングが頭をなでてくれて・・」

 

あ、そうとそっぽを向いたままアウルの機嫌はまだ直らない。

 

「あとね、アウルもうるさいと言いながらも抱きしめてくれた。

夢の中のアウルもとても暖かったよ」

 

こんなふうにと彼の胸に頬を寄せると、彼はまた、あ、そうとそっけなく言った。

けれど彼の不機嫌な気配はいつのまにか消えていて、

変わりに暖かい腕の感触が私を包み込む。

 

「まだ早いからもう一眠りしよーぜ」

 

さっきとは打って変わって穏やかな笑みを浮かべるアウルに

私はうんと頷いた。

 

 

 

 

 

 

あとがき

題名の意味は

「私が何よりも欲しいのはあなたの温もりなのです」

 

なつき様による3500hitリク、

アウルのヤキモチをテーマとしたアウステでした。

ヤキモチアウルをうまく出せたかどうか分かりませんが、そう

受け取っていただけたら幸いです。

リク有り難うございました。

またここまで読んでくださった方もありがとうございました。